【開発ヒストリー】地方だからできたインライン加工設備
当社のインライン加工設備(輪転機で印刷したロール紙を、そのまま加工機に投入、糊付け、抜き、折り加工等を施し、一気に製品にまで仕上げる設備)の導入は、株式会社ぱど様(地域密着型無料情報誌「ぱど」を発行。1987年創刊。現在の発行部数約1千万部)からの受注がきっかけでした。 情報誌「ぱど」は、AB版(当初はA4変形サイズ)のタウン誌で、仕上がりは8P、16P、24P、32Pの4種類でした。平成4年当時は、石川県に有する4台の輪転機で、2日かけて印刷、次の2日で中綴製本、計4日を要していました。当初は40万部でしたが、月をおうごとに部数が増え、製本が追いつかなくなりました。 しかし、当事金沢周辺には首都圏のように多数の製本屋さんはありませんでした。注文部数をこなし、同時に納期短縮の要請に応えるには、印刷と製本を同時に行なう以外にないと、株式会社ぱどの倉橋社長からのアドバイスもあり、折り出しされた刷り本をその場で糊付けし製本にする装置を輪転機につけました。 このグルー製本により、当社の問題の一つは取り敢えず解決され、情報誌「ぱど」の愛読者の皆様から、ホッチキスがないので子供が怪我をしない、リサイクルの手間が省けるなどの評価をいただき、新たな子供向け冊子の注文にもつながるなどの副次的効果もありました。
しかし、これで全部の問題が解決したわけではありません。1台の輪転機でグルー製本できるのは、ページ数にして16Pま でであり、24Pや32Pには対応できません。 そこで、2台の輪転機並列で印刷した刷り本を重ねてグルー製本し、24Pや32Pに対応することにしました。 当初の2年間ほどは、これには泣かされました。5万部の仕上がり品をつくるのに、無駄紙を5万部分以上に使ってしまう 有様でした。 現場の努力もあり、現在では3台の輪転機の並列運転まで可能になっております。
その次に考えたのが、単に糊付けに止まらず、折り加工や抜き加工ができる装置を付加し、もっと加工度の高い製品を、短納期で供給することでした。それがインライン加工設備です。 商業印刷業界においては、日本で初めての設備でした。この設備でどのような製品を作れば顧客に受け入れてもらえるのか、これはなかなかの難題でした。 しかし、圧着チラシ、申し込み葉書の飛び出るチラシ、携帯電話の請求書に同封する小冊子など、当社独自の製品を考案し、お客様の評価もいただけるようになりました。 現在では、インデックスタイプのDM、ポップアップ機能を持つリーフレット、剥離紙のないシール付説明書、さらには立体シール加工等の多彩な製品を提案、供給できるようになりました。 一段と高いレスポンスをお求めのお客様から、好評をいただいております。