1904年(明治37年)~1986年(昭和61年)
挿絵画家、漫画家、童画家、グッズデザイナー

神戸市生れ。東京で育つ。立教中学中退後、川端画学校でデッサンを学ぶ。中学在学中から家計を助けるために雑誌のカット描きのアルバイトを始める。
昭和初頭、少女雑誌で挿絵家としてデビュー。エキゾチックで繊細な美少女画で頭角を現わす。やがて、抒情的ななかにもはつらつとした明るさをもつ新しいタイプの少女画を確立し、高畠華宵、蕗谷虹児らに続く新世代の画家として人気を博した。
漫画家として1938年(昭和13年)に、少女漫画の先駆け的作品である『くるくるクルミちゃん』の連載を開始、連載は35年間続いた。
その他の代表作に『?(なぞ)のクローバー』などがある。
少女雑誌文化が花開き、抒情画家たちが絢爛豪華に筆を競い合った昭和のはじめ、松本かつぢは、高畠華宵や蕗谷虹児に続く新世代の画家として頭角をあらわしエキゾチックで華麗な画風で中原淳一と人気を二分しました。
一方で、明るく可愛いらしいユーモアタッチの挿絵を描き、コミカルな漫画にも挑戦して対照的な画風を自在に操り、既存の画家にはないマルチな画才を示しました。
その中でも、漫画『くるくるクルミちゃん』は昭和の初期から35年にわたって当時の少女雑誌に連載され、少女漫画の先駆け的作品であるとともに、絵はがきや便箋の表紙になど、次々と商品化されて日本のキャラクターグッズの元祖になりました。
日本の“かわいいもの文化”の歴史をさかのぼると、実は“Kawaii”の元祖は、このくるくるクルミちゃんに辿り着くと言っても過言ではないのです。