出版社が今、ブックオンデマンドに注目する理由
近年、用紙代やインク代の高騰により、紙の出版物を発行する環境は、以前にも増して厳しくなっています。そんな中、コスト削減の新たな解決策として、ブックオンデマンド(BoD)が注目されています。
本記事では、厳しい経営環境の中でも奮闘する出版社の方に向けて、ブックオンデマンドを選ぶ理由とその概要、印刷品質と柔軟性、在庫削減について考察します。実際に導入して効果を上げた成功事例もご紹介します。
出版社の現状と直面する課題
書籍の出版部数は年々減少しており、出版社は初版部数と増刷の部数設定の課題に直面しています。
初版部数と増刷の部数設定の課題
従来の出版形態では、取次各社が配本先の書店を考慮した「みなし配本」により、初版部数が5,000部〜というように大量に印刷することが一般的でしたが、現在は書店営業時に予約をしてもらう「指定配本」が一般的で、多く印刷する分だけ余剰在庫となってしまっているのが現状です。
需要予測の誤差や需要の変動によって初版の部数が適切でない場合は、在庫管理コストや余剰分の廃棄コストなどのリスクを負うことになります。
また、需要が予想以上に高まった場合に増刷を行う際にも、迅速な対応が求められ、必要な部数だけをなるべく早く供給することで、売上ロスを最小限に抑えることができます。
書籍印刷を行う際は、これらの条件を考慮する必要があります。
用紙代やインク代の高騰への影響
近年、用紙代やインク代が高騰しており、中小出版社にとって印刷コストの増加は大きな問題となっています。特に、用紙代は、昨年1年間の中でも数回値上げが行われるなど厳しい状況となっています。
初版部数を大量印刷する場合、用紙やインクの費用が相当な割合を占めるため、これらの価格上昇が出版社の利益に直結します。このような状況下で、コスト削減が喫緊の課題となっています。
ブックオンデマンドの概要とメリット
出版コスト削減の解決策として注目されているブックオンデマンド。
ここではブックオンデマンドの概要とメリットを整理していきます。
ブックオンデマンドとは何か?
ブックオンデマンド(BoD)は、必要に応じて必要な部数だけ書籍を出版・印刷する手法です。
従来の大量印刷とは異なり、需要が発生したときにその都度印刷するため、在庫リスクを軽減し、需要に合わせた柔軟な対応が可能となります。
コスト削減とリスク回避の可能性
出版部数の低下が顕著となっている昨今では、余剰在庫を抑えるため、初版部数では多くても2,000部程度の印刷になるのが一般的です。
ブックオンデマンドでは、2,000部程度までの印刷に最適なデジタル印刷方式が使用されるため、初版部数がそれほど多くない場合は、余剰在庫を抑え、より適切なコストで印刷が可能となります。需要が低いときは余計なコストをかけることなく最小限の印刷にとどめ、需要が増えたときには必要な部数だけを増刷できるため、経済的なメリットが得られやすくなります。
また、在庫リスクを軽減することで、新しい書籍タイトルのリリースが柔軟に行いやすくなり、競争力の向上にもつながります。
ブックオンデマンドの必要性
ブックオンデマンドは、個別の需要に応じて書籍を出版・印刷する仕組みであり、多様な読書ニーズに対して、古い書籍やマニアック&専門的なテーマの本も効率的&リーズナブルに出版することが可能になります。具体的には従来の考え方では購買読者数が見込めずお蔵入りになっていた企画の書籍や復刻本や絶版本などの出版もブックオンデマンドによって可能になります。
さらに、無駄な作り置きをしないため、余剰となった本の廃棄を減らし、コスト削減にもつながります。
ブックオンデマンドは、出版業界に革新をもたらし、読者と著者の双方にとって必要なシステムといえます。
ブックオンデマンドの印刷品質と柔軟性
ブックオンデマンドは書籍に求められる高品質な印刷と柔軟性を両立した印刷手法です。詳しく見ていきましょう。
従来の印刷方式との比較
従来、一般的に採用されていたオフセット印刷方式は、版を作成する特性上、チラシなど大ロットの大量印刷に向いており、2,000部程度の印刷の場合は単価が割高になってしまいます。
大量に作れば単価は下がるものの、余剰在庫と保管コストが発生してしまうのが課題で、在庫が捌ける前に、書籍の内容に修正や改訂が入る場合は、都度全数を作り直す必要がありました。
一方、ブックオンデマンドでは、従来の大量印刷に比べ、需要が発生したときにその都度印刷するため、余剰在庫になる可能性が低く、増刷時のロスが少ないという利点があります。
また、柔軟な対応が可能で、需要変動に即座に対応できることも特徴となっています。
在庫を作りすぎることが無くなり、無駄な生産コストが削減できます。
初版2,000部程度でも製造単価を抑えて、高品質な印刷を実現
以前は、大量印刷で使用されるオフセット印刷方式に比べて、デジタル印刷はやや品質が劣るという概念が一般的でした。
しかし、近年のデジタル印刷技術の進化により、細やかな絵柄やグラデーションの再現性などの印刷品質が向上し、初版部数が比較的少ないブックオンデマンドに於いても利用ユーザーに十分満足いただける品質での印刷が可能となっています。
小説や自己啓発書、教材テキストなどの書籍であれば、十分に満足できる品質の仕上りとなるでしょう。
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出版物へのブックオンデマンド導入の成功事例
ここでは実際にブックオンデマンドを出版物に導入した事例を紹介していきます。
教材の採用見本への導入事例
ある教育系出版社では、教材の採用見本を数百部部程度印刷する際、大ロット向けのオフセット印刷方式で製造していましたが、必要部数に対して印刷コストが見合っていなかったのが現状でした。
デジタル印刷方式に切り替えたことで、コストを大幅に抑えることができ、品質も満足できるため、今後もブックオンデマンドを活用する予定だということです。
改訂が必要な問題集テキストへの導入事例
別の中堅出版社では、年数回実施している試験向けに、問題集テキストを発行していましたが、数量が数十部〜数百部程度のため、コストの関係で従来は一定期間分をまとめて印刷していました。
その間に内容改訂が必要になった場合は、正誤表を追加作成し、テキストに差し込む手間が発生していたのに加えて、改定前のテキストはすべて廃棄処分するしかない状態となっていました。
ブックオンデマンドを活用することで、都度必要部数で印刷してもコスト面で納得できるようになり、改訂時の在庫廃棄のムダや手間の削減につながりました。
出版物の印刷課題を解決するブックオンデマンドサービス
弊社ウイル・コーポレーションでは、枚葉タイプのHP Indigoデジタル印刷機や、ロール紙タイプのデジタル印刷機を保有しており、専用の製本ラインと連結させることで、フルデジタル印刷生産によるブックオンデマンドを実現しています。
学術系の専門書や教材テキストなどの書籍に加え、自費出版本、プログラムガイドなども多数受注しており、出版社様を始めとした多くのお客様にご利用いただいております。
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まとめ
出版社が抱える初版部数の余剰在庫や増刷の課題を克服し、需要に応じて柔軟な印刷が実現できるブックオンデマンドは、在庫の作り置きをなくすことでコスト面での負担を軽減し、競争力の向上につながります。
出版物のコスト削減でお悩みの出版社様は、ぜひ弊社のブックオンデマンド活用を検討してみては如何でしょうか。
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